0825 こんな世界展は…イヤだ!

美術

「MANGA都市…」展は <入場者制限>により「ガラすき会場」だった。おかげで自由に移動しながら好きなだけ見つづけることができ、 十二分にマンガ原稿を堪能した。 その後、同じ国立新美術館で内掲示を見て、私はよろこんだ。

おッ 、 「日本・フランス … 世界展」 だ!

開催中の企画案内は4種類掲示してあった。
写真左から「MANGA展」「古典×現代2020―時空を超える日本のアート」「高校生国際美術展」「日本・フランス現代美術世界展」だった。

おッ、右端の案内は『日仏現代美術展』なのか…?それならぜひとも見てみなくちゃ、と思った。 こう言っては何だが、 私は昔から『『日仏現代美術展』てのは散臭い展覧会だなって思ってた。 美術雑誌の広告記事に掲載されてたりするけど「う~む。こりゃどうかな?」って長年思っていた。だから「今日はその疑問が解明できるな」と喜んだわけだ。

あれ~、これは『日仏現代美術展』じゃ無いのか~? 

入り口の看板をみて戸惑った。
おやッ『日本・フランス現代美術世界展』…? これは『日仏現代美術展じゃ無いのか~? 
疑念を抱いたのだが、まあいいか取り合えず会場を歩いてみた。展示会場はけっこう広いが観客はほとんどいない。ぐるりと廻っても私以外には3組だけだった。

「うー?」 、「うーむ…?」
小さな作品がチマチマと展示してあった。書道や工芸もチラホラある。
作品の上部に国籍を示す国旗が示してある。たしかに「世界展」かも知れないのだが…
「 うー 、うーむ…、これは… やっぱし…!」
まるでローカルな街の公民館で開かれてる「市民文化祭」の展示のようだった。

帰宅後調べてみたところ、やはりこの作品展は『日仏現代美術展』とは違うものだった。そして両者の名称があまりにも似過ぎている理由も分かってきた。

どちらも「おフランス」の名称がほしいから似た名前になっちゃった

日本・フランス現代美術世界展は、 主催:「JIAS日本国際美術家協会」
1981年に「欧州美術クラブ」によって美術文化交流として発足した非営利団体。「JIAS=ジアス」はJapan International Artists Society。

日仏現代美術展は、主催:「サロン・ブラン美術協会
これは1997年白尾勇次を中心に 設立された新しい美術協会。75名の会員で発足し、2006年(第10回)から「日仏現代美術展」、2010年(第14回)からは現在の日仏国際現代美術展の名称で開催してきた。ちなみに今年の展示は1月に終了していた。 

先に設立されたのはJIAS =日本・フランス…展 1981年 )」だった。 しかし1997年になって、 JIASの内部にイザコザがあり、白尾勇次氏が70名ほどを引き連れて脱退して作ったのが『日仏現代美術展』らしいのだ。 「美術公募展」ってのは、作家集団だから主義主張の相違や人間関係から分裂騒動がつきものだ。 「日本・フランス現代美術世界展」 が分裂して 「日仏国際現代美術展」ができたわけだ。
「日仏国際現代美術展」の出品要領や展示作品をネットで みたところ、作品サイズが小さめの普通の公募展レベル。海外出品者もいますって感じでした。

いろんな商売があるから、何とも言えないが…

さて、「日本・フランス現代美術世界展」を運営してるのは欧州美術クラブ
< ご応募・出品できる国際展 >とある。ここは海外も含めた美術展をプロモートしたりそこへの出品代行をする組織。

例えばル・サロンの場合、作品写真 (30号まで)による審査で、応募料4万円、入選した場合の出展費用は9万4千円とか。サロン・ドートンヌの場合も同じようらしい。結構な額だ。
「欧州美術クラブ」主催の企画に対するコメントが2チャンネルにあった。
・ 入選したけどあまりの応募数の少なさと入選率に疑問。
・研修参加ツアーは自由参加だがバカ高い。
・パリでは会場の終わりの部屋に 日本人作家が 集められ観客はいなかった。
・ あの団体はどんな絵でもお金を払えば選出してくれるような所です。
・ル・サロンって八代アキが入選したって聞いたけどたいしたもんじゃないのか?

ちなみにWikipediaで「欧州美術クラブ」 の項目は
< 同団体のサイトからの転載。宣伝の様相が感じられる >ということで内容が削除されている。でも、納得して出品してたりする人もいるのだから、一概に「ン…なところへ出品しないほうがよろしいのでは…」とか言うのは、大きなお世話だってことですな。

「グラン・パレ」(上左写真)は 1900年の万国博覧会に向け 建設された 。多くのイベント(書籍展示会・国際現代アート見本市・骨董ビエンナーレ・展覧会見本市・音楽見本市などが開催され続けてきた。この場所で パネルを設置して 「ル・サロン」が開催されるわけだが、落ち着かない会場だな。 ここはいわば 東京ビッグサイト(東京国際展示場)みたいなものかな。

「ル・サロン」 入選者のブログがあったので以下に紹介します。上右写真が入選作品だそうな。 『ル・サロン』に入選しました! やった〜❗️❗️
世界中から応募がある世界最古のフランスの由緒ある美術展です❗️
本当に嬉しくて、今晩寝られそうにない(笑)フランス美術展の手続きをお願いしていた会社の担当の方から『入選しました!おめでとうございます!』入選した絵は、これです❗️『私の家族』(犬の絵)

何をか言わんや… だ!

そうしてみると「…国際展」や「…世界展」とか名付けられたイベントってものは、いずれもどこかしら疑わしい。近ごろは「~国際大学」って名称の大学が増えてきたけど、それらも中身が薄っぺらい感じがする。さらに、展覧会名で「現代美術」と謳 ってるけれども、 通常に言う「現代美術」の概念とは程遠い作品ばかりだ。

「嘘も百回言えば真実になる」

JIAS日本国際美術家協会 機関紙 Vol.44(2019年)」ってものを見つけた。
< 名誉顧問が勲章受賞、国際作家探訪記(サロン・ドトンヌ)、スペイン美術賞展報告、ル・サロン展覧会報告… など  > グローバル感あふれる機関紙だ。
< こんなにも華々しい活動をしている組織に属している私って、ステキ >そう思わせるに十分なヨイショ記事が満載だ。ヨーロッパやおフランスに憧れを抱く極東の庶民にとっては、こんな機関紙が送られてきたならば、「無価値」なものにも「意味」を感じるようになるのでは…。

「嘘も百回言えば真実になる」 そんなことわざがある。
たとえ嘘であっても、繰り返し言い続けることにより、真実と感じるようになるということ。それは人の考え方や行動を操り、支配するための行為「プロパガンダ」の手法のひとつだ。
怖さを感じた。

文化祭のような「世界展」にすっかり打ちのめされてしまった。
こんな国際展こんな世界展は、私はイヤだ。

コメント

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