0707  山陰(4)米子と足立美術館

山陰旅行

旅行3日目。午前中は足立美術館、午後は鳥取市まで移動して夕方に鳥取砂丘へ行った。

不思議な地形の「皆生温泉」

「皆生温泉」は米子市の弓ヶ浜を臨む温泉。


・ なんで、小さな入り江がいくつも連なった海岸線なの?

・「皆生」はどう読めばよいの?
きっと誰でもそんな疑問を持つだろう「皆生温泉」だが、年間の入湯客数は40万人超で、鳥取県内の温泉入浴客数は最大だという。
ま~、疑問はチョット置いといて、米子駅からバスで「皆生温泉」へ向かった時のこと。5km 20分弱の予定だったがバスはとにかく遅かった。35分もかかった。タクシー15分2000円ってことだったから当初はそれも考えたが、タクシーを使っていたらメーターが上がってタイヘンだったろうな。

宿泊した旅館は「皆生菊の家」。前日泊った宿に較べ半額の料金だから期待してなかった。部屋のつくりは普通だが真正面が海で眺めは絶景。夕食は十畳の別室借り切りでゆったりできた。このお代でいいのか~っていうほど料理がとっても良かった

朝、迷建築を観に行った

翌朝はあいにくの雨だったが、菊竹清訓氏が設計したホテル『東光園』を観に行った。

宇宙船か軍艦か?っていわれるほどワケワカメのホテルだった。
菊竹氏自身の設計思想を明確に表した自邸「スカイハウス」も「江戸東京博物館」も空中に浮かぶような姿だから一貫してるといえば言えなくもない。空前にして絶後の2段ピロティ、空中廊下も50年が経過して老朽化してるから存続はそろそろ危ないかも…
それにしても面白いものを観させて頂いた。
菊竹建築のファンは、松江官庁街とこの東光園をセットで観にくるそうだ。

謎の海岸線

建築見学の帰り道、海岸を散歩した。それにしてもお椀型の浜が連なった不思議な光景だ。これは、砂浜の侵食を防ぐ目的で設置されたテトラポットに、水流によって陸地との間に砂洲が形成されたものだった。あれだよ堂ヶ島で見た「トンボロ」だよ。それがいくつも連なって独特の景観を描き出してるってわけだ。

消波ブロックを積み上げた「離岸堤」は見苦しいしトンボロも邪魔だという意見があり、水面からわずかに顔を出す程度の構造の「人工リーフ」に作り替える案があるそうな。そうなったらトンボロができないから、この面白い形状の砂浜が見られなくなちゃうわけだ。

さて、難読地名の「皆生」は「かいけ」と読む。この地が砂洲であったことから海になったり池になったりしたことから「海池」と呼ばれていたことに由来する。幕末の慶応三年、その「海池村」から「皆生村」に字が改められた。
< その昔、出雲の稲佐の浜から泡となって流れ出た魂たちが、海岸に流れ着き、新しい身体と心がよみがえり皆、生まれ変わったことから、当地を〝皆生〟と呼ぶようになった >
改名の背景にはそんな「ヨミガエリ」伝説に由来があるという。

* 皆生温泉今と昔  http://www.yonago-toshokan.jp/wp-

安来駅から送迎バス

米子から安来(やすぎ)駅までは7~8分、あっという間に到着した。
駅舎は「観光交流プラザ」と名付けられた木造駅舎だった。丸みのあるむくり屋根で正面には大きなガラスカーテンウォールが用いてある。内部は大きな吹き抜けで、下から見上げるとかなり複雑に組み合わされた木材がそのまま見える。

今どき珍しいナマの木組み構造だと感心した。脇を見ると水槽に数匹の大きなドジョウが飼われていた。「あ、そうだ安来は安来節だ、ドジョウすくいだったよな。」やっと思い出した。

駅前には「足立美術館」の送迎バスが待っていた。定員25人だからお客さんが多すぎて乗れないことが結構あると聞いていた。乗客は私達の他には二組しかいなかった。やっぱりコロナだ。

こじんまりした安来市街をほどなく抜けると一面の田んぼと畑だ。のどかなド田舎道を20分走って「足立美術館」の広い駐車場に着いた。一台も駐車していない。すぐ隣に大きな施設がある。壁面には「安来節演芸館」とある。どうやら「足立美術館」とタイアップして団体客の昼食兼・安来節鑑賞ということか。
* 島根県民謡 安来節 歌詞 – 歌ネット https://www.uta-net
* どじょうすくい男踊り  https://www.youtube.

足立美術館は「外人向け」だな

「足立美術館」には約2時間半を見込んでいた。
お客さんがほとんど居ない中、お庭をのんびりと見学し日本画の展示品をゆっくり楽しんだ。

「足立美術館」は、米国の日本庭園専門誌「The Journal of Japanese Gardeningで、2003年から18年連続で庭園ランキング日本一に選ばれている。そのせいもあってか国内外から年間50万人以上が訪れる。

庭園は、きれいに整備されているのだがいろんなところが造りすぎだ  …。2箇所の滝の水は機械的に流れ落ち水量が多すぎる。樹木の刈り込みも人工的で、京都の侘び寂びの和風庭園には程遠い。この庭園は外国人向きなのだろう。キレイなんだけど日本人の私にはヘンだった … 。

外国人が均整のとれた庭園を好むのは西欧の多くの庭園が幾何学的だからろう。西欧にとどまらず中国製の陶器だって左右対称のものばかりなんだから、織部のような不整形の日本的感覚は世界では稀な感覚なのだろう。
自然美を尊ぶ感覚よりも人工美が勝ってしまってるのが足立美術館だ。でも、ここは足立全康氏が全力を注いでつくり上げた庭園だ。それはそれで立派な功績だ。でも頑張りすぎで息苦しいし、私とは少し感覚が違ったから…これはチョットって思ったんだナ。

ところで、入場料が2300円もするのだが配布物は「館内の見みどころ」ペラ一枚(下図)。いくらなんでもコリャ無いぞ! 庭園や展示品を理解してもらうにはもっと丁寧な解説が必要だ。ま~これは現行の運営者の問題だんだけどサ。

茶室寿楽庵」で、「純金製の釜(*)」の湯で点てられた抹茶を頂いた。久し振りに飲む抹茶だったけど良いもんだな。お道具は自宅にあるから、今後は自宅でも時々たしなみたいと思った。昼食にはビーフカレーを食べた。付け合せの「鳥取らっきょう」がすごく凄く美味かった。
12時発の送迎バスに乗って米子まで戻った。
(*)参考:純金製の釜
。。。。http://www.en-musubi.net/spotn

(*)【クラブツーリズム】足立美術館紹介ビデオ(動画)」
。。。https://www.youtube.com/wa

「米子」について考えた

鳥取・島根の位置の覚え方がネットに出ていて笑った。どっちか分からんほどマイナーな両県だけど位置ぐらいは間違わないだろ。でも「米子市」に関しては鳥取・島根どちらの県に属するのか、私も知らなかった。今回やっと鳥取県の西はずれにあることを理解したよ。

山陰の都市人口は4大都市といえども15~20万人。いずこも似たりよったりの駅前風景だった。
「米子」という街は人口は山陰第4位の規模なんだが< 山陰両県の中央に位置する立地から、両県を統括する企業や機関が置かれる >とのことで経済圏の要として案外重要な役割を果たしているようだ。

米子駅前を楽しんだ

「米子(YONAGO)」は、「迷子(まいご)」とか「NAGOYA」とかって間違われると聞き、さもありなんと笑った。「米子駅」には鳥取県で唯一、自動改札機があるゾ」っていう自慢に驚いた。ということは県庁所在地の鳥取駅には無いのかって…。

駅前広場にはホタテを縦にしたようなオブジェが駅前にあった。米粒をモチーフにしているらしい。米子の「米」にかけているのだとか・・・。蒸気機関車が牽引する列車が、天に向かって駆け登っている不可思議なモニュメントもあった。これは時計塔になっていて1995年設置で 高さは12m。どこにも説明板がないから市民も意味不明なそう(ただし銀河鉄道999では無いということだ)。これほどのナンセンス?なオブジェはどこの駅前にも無いからむしろ貴重だな。

 

駅の周辺からは「米子城址」が望めた。海抜90mの高さに城址の石垣が見えた。
「おお~大迫力だ、スゴイ!」山頂部に残された石垣を見上げただけでウットリした。この石垣の上に五層の本丸が建っているCG画像を見つけて感動した。できれば城址に登り米子市内を見下したかったな。

夕方の鳥取砂丘

米子からJRに乗り1時間30分で鳥取駅に着いた。
「おお~、ウワサ通りの有人改札だ」、2人の駅員が小箱に立っているじゃないか!
しかし困ったことに気づいた。私は米子の自動改札機でSUICAを使って入場していた。もはやICカード乗車に慣れきっているからうかつだった。SUICAじゃ出られないから改札口脇ブースの窓口で申し出て、一旦払い戻し処理してあらためて現金払いした。

鳥取駅の宿は、駅前にある「鳥取大丸デパート」横の「ホテルニューオータニ鳥取」この2つの建築物の設計者は黒川紀章だ。しかし共に「どこが~黒川紀章なんだよ~」というほど特徴がなかった。だから「ニューオータニ…」ってネーミングの割に宿泊費がお安かったんだな。

ホテルに荷物を置いてから夕方の砂丘見物にでかけた。
駅前には「鳥取砂丘ゆきバス乗場」と大きく書かれているから分かりやすい。砂丘までは8km20分、15:50発のバスに乗車した。もちろん他のお客さん皆無。「砂丘会館」前に到着したものの広い駐車場もほぼカラッポ。
よ~し、砂丘を独り占めだ冗談を言いながら入り口へ向かったら、ホントに砂丘には人影が数人しかなかった。

砂丘には目印が無いから明確じゃないけどだいたい上図の右、赤線あたりを1時間かけてのんびり散策した。昨日の雨が明け方にあがった状態だったから、雨で砂が締まりとても歩きやすい。気温も高くないから最適な時間帯だったな。

砂丘にはユニークな地形やいろんな地形があって興味深かった。
歩いていて一番驚いたことは、鳥取砂丘の真ん中あたりに水が湧き出す箇所がありそのため緑化が進んでいるってことだった。

平成3年頃には外来植物が増加して、何と鳥取砂丘の50%近くが雑草などで緑にカバーされるという事態になったそうな。砂丘は「砂漠」じゃないから雨が多く栄養素もあるため何もせずに放置しておくと勝手に草木が生えてきてしまうんだって。

だから、ボランティアによる定期的な除草や小学生や観光客による除草体験(草むしり)など、砂丘を取り戻しキープする活動が行われてるんだってさ。ある国では砂漠の緑化に一生懸命取り組んでいるのに、鳥取では草むしりに励んでいるというのはユニークな事態ですな。

   せっかくだから散策の間じゅうを録画してみたのだった。
◆鳥取砂丘の一時間ダイジェスト.mp4 https://youtu.be/
   砂丘と足跡を造形的に5分間スライドショーとして作成。
◆◆鳥取砂丘の一時間.mp4  https://youtu.be/r
会話しながらの砂丘散策。馬の背から波打ち際~オアシス~火山灰地をめぐる一時間。
編集なしで手ブレ有り・風切音ありをご了承ください。

居酒屋夕食大当たり

夕食は気軽に外食でと…「寿司居酒屋や 台ずし 鳥取駅前店」へ行った。「や台ずし」てのは名古屋に本社を置くチェーン店全国に320店舗あるという。初めて行ってみたのだが94席がしだいに埋まってほぼ満席になった。フツーに酒も提供してるし大盛況。気楽でお安くてすっかり気に入った。横浜の近くでは黄金町にあるようだ。

山陰へ来てからは、どこへ行ってもガラスキで何となく寂しかった。初めてフツーに人がたむろしている場に行けて嬉しかった。
食事後は、鳥取駅前の開閉式大屋根「バード・ハット」を歩いた(写真右)。駅前商店街活性化の起爆剤として10億7千万円を注ぎ込んで2013年完成した延長60mのもの。2車線を芝生広場化しベンチやイス・テーブルを配してある。イベント開催時に雨天の心配が不要で、特に音楽イベントでその効果が期待された。しかし商店街へ騒音被害が大きいことで問題になった。
花金の夜7時にもかかわらず、一人も歩いていなくて寂しかった。

つづく

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