0820 おバカ映画

思い出

40年ほど前、ひょんなことから8ミリ映画を作った。
なんと私が主役の25分ほどの青春学園ドラマだ。

8ミリフィルムだから元テープは一本しかない。
メインとなって制作したN君が保存していたが、彼が昨年とつぜん亡くなった。

あやうく世から消えそうになったフィルムだが、
メンバーの遺品捜索により探し出されデジタル変換した。
今回、N君の墓参に集まった12名ほどの関係者でDVD鑑賞会を行った。

40年ぶりに再会したメンバーは、やや干からび感はあれども、皆さん当時の面影を保っていた。
画面に映し出されたひとコマひとコマの中には、16~7歳のそれぞれの青春が輝いていた。
動きを伴う映像というものは、過去を現在にワープさせる不思議な感覚を生み出すものだ。66歳のいまの私の精神は26歳の 撮影時に戻る気がした。

長い時を経てるから、 すでに 私は ストーリーの多くを忘れていた。
場面カットを見ることで「ああ、これも撮ったな」「そういえば…」と、
全てのシーンを撮影時の苦労とともに思い出していった。

いま思えば、とんでもないおバカ映画を撮ったものだ
ストーリーはハチャメチャで、主役の私の大根ぶりも恥ずかしい。
授業の場面には相当数の生徒が協力し、国語数学理科社会体育の7~8名の現役教師も登場した。
火を燃やしたり、ごみを撒き散らしたり、きわどいシーンも。
夜の9時10時の遅くまで居残って撮影し、女子生徒の親から苦情が来なかったのも不思議だ。
ちかごろの学校や家庭における管理強化された環境からは信じられないほどの自由さだった。
こんな無茶苦茶な映画を、高校の学園祭でよくも堂々と披露したものだ。
若気の至りといえばそれまでだが、いま思えば訓告処分ものか?
見ているうちに次第に冷や汗が出てきた。

「私を主役にしてくれたら金を出す」
そんな私の、思いつき発言を受けたN君が中心となって出来上がった映画だった。
生徒も教師もみんなすごく面白がって協力し演じていた
きっとN君の人間的魅力のおかげなのだろう。
彼は、私たちにとてもステキなものを遺してくれたものだ。

当時8ミリフィルムは、映像と音声とが別々だった。
N君の遺品の中からは音声データは発見できなかったからセリフやBGMは再生できない。
だが、色あせたシナリオ原本は残っていた。映像編集ソフトを使えば、セリフ字幕のスーパーインポーズは私でも可能だ。
そのうちにやってみようと思っている。

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