今回の旅行目的は2つあった。
ひとつは、長崎~阿蘇~由布院~高千穂を辿る 20代初めの一人旅を 「再検証」したいという家内の思いを叶えること。そしてもうひとつは 「亀の井別荘」と「雲仙観光ホテル」という、 九州の一流ホテルと宿を味わうことだった。
「亀の井別荘」は由布院温泉を代表する和風旅館。金鱗湖のほとりの1万坪の敷地に、本館洋間6室と民家風離れ15室をもつ。少ない部屋数だから一年中いつも満室でなかなか予約がとりづらい。今回の旅行は、この旅館が予約できたからそれに合わせてスケジュールを組んだ次第だった。
各部屋は玄関付きの独立した離れの構成。それらがすべて屋根付きの長い通路で結ばれている。私が宿泊したのは最も奥の7番の部屋だった。正面玄関からは相当の距離がある。
夕食・朝食ともに部屋食だ。部屋食といっても一般宿のように、ほとんどの料理が 最初からテーブルに 拡げられてるんじゃない。時間をおいて 仲居さんが 一品づつ 運んでくる。部屋でゆっくり食事できるのは 中高年の夫婦二人にとっては スゴク楽で贅沢だった。
部屋以外にも、レンガ造りで暖炉付きの談話室などがある。フリードリンクやSPレコード鑑賞会などでりラックスできた。時間をかけて積み上げられた落ち着いた雰囲気。施設のすみずみにまで清潔感があり、あらゆるものに抜かりなく余裕があるのは流石。最高レベルの和風旅館とはこういうものか。
感じたことがいろいろあるが書き切れない。
二人並んで部屋のソファーに座って坪庭を眺めて会話した。
<歳とったら、こんな和風の戸建てに住みたいなって思ってたけど、手入れが大変だネ>
「年に一度、こんなふうに旅館に泊まってのんびりする方がいいよナ」
翌朝、旅館の玄関を出て広い前庭をみると、5人ほどの庭師たちがあちこち手入れや掃除をしていた。こうして一年中、 建物を 管理して、 広い庭を維持するのはほんとに大変だろうと思った。
「雲仙観光ホテル」は、1935年(昭和10年)外国人向けとして造られた雲仙のシンボル的存在のホテル。山小屋風の外観は丸太や丸石を組み合わせたログ仕上げ。室内のいたるところにステンドグラスや手斧(ちょうな)仕上げの丁寧なデザインがほどこされている。調度品・図書室・ビリヤード室・風呂など、どこをみてもノスタルジアを感じるのは、できるだけ元の姿を残そうとする努力があるからだろう。
<昭和天皇がお泊りになった隣のお部屋を用意させていただきました>と、
バルコニー付きのホテル正面2階の部屋に泊まることができた(上図の赤丸印の部屋)。
さて、廊下でも大浴場でも、ほとんど他の宿泊客を見かけなかったのだが、夕食どきにダイニングに入ってお客さんの少なさに驚いた。20卓あるテーブルに私たち以外に4組しかいない。部屋数は大小あわせて60部屋ほどあるのだが、この時期にはどうやら7~8部屋しか予約をとらないよう。この5組のテーブルに3名のウエイターだから至れり尽くせりだった。

今回メニュは11品だった。①突き出し「アミューズ」②前菜「オードブル」③「スープ」④魚料理「ポワソン」⑤口直し「ソルベ」⑥肉料理「アントレ」⑦生野菜「サラダ」⑧「チーズ」⑨甘い菓子「アントルメ」⑩果物「フルーツ」⑪コーヒーと小菓子。
聞きかじりだけど、コース料理は一般的には7品、フォーマルの代表的なフルコースは「アミューズ」が追加され8品、更に格式の高いフルコースは11品など、ランクがあるそうな。
今回は、完全フルコースのフレンチだ。
<ここのコース料理は、ほんとの一流なのヨ…フフッ>
物知り奥さんはすごく嬉しそうに言った。
<せっかくだからセットのワインをお願いしたらどう? …フフッ >
言われるままに料理に合わせた3種類のグラスワインを頼んでみた(4千円ぐらい)。
「おおっ、いつもの訳わからずに頼ンでるのと違うゾ… 何かウマイぞ」
<そ~でしょ …フフッ >
運ばれる料理ごとに ウエイター が 材料や調理方を説明してくれるのだが、あまりにオシャレに手が込みすぎてるため、 食べても素材が何なのか 私には わからないほどだった。ちなみに灯りはロウソク だけだから暗すぎて写真は撮れない。
箱根ホテルでもコース料理を食べたのだが、こちらのレベルは ワンランク上だった。
「う~ん、本格フレンチのフルコースって、ホントに凄いもんだ」
と、本格初体験の私はうなってしまった。
翌朝の朝食も同様に大感動したが、どう言葉に置き換えたら良いのかわからない。
食レポするのも慣れないと難しいもんだな。
ビジネスホテルの宿泊では数日たつとどこもおんなじ部屋とベットに思えて区別がつかない。
でも、今回泊まったランクの旅館やホテルならば、部屋の調度やスタッフの雰囲気、食事内容や体験したことの多くがズ~ット記憶に残るだろう。
とっても濃厚な宿泊経験でした。
いま帰宅して一週間。
<楽しい旅行だったね>
「欠航ですごく大変だったじゃないか!」
< たいしたことなかったよ、また行こうね>
< 九州はもういいな、次は三崎のマグロかな>
奥さん、次には三浦半島のマグロを食べに行きたいようだ。
私にはマグロの旨さが良くわからないのだが、ハイハイお供しますよ。
<これにて、2019九州旅行記おわり>