0901 インターコンチの「なだ万」ディナー

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「なだ万」は日本料理の老舗

創始者が灘屋萬助だから「なだ万」。
彼は長崎の出身で元は卓袱料理(しっぽくりょうり)だったそう。その後大阪に進出後は懐石料理を加味して、ミシュランに載る際には「懐石の老舗」とされた。現在の本店はホテルニューオータニ「 山茶花荘」で、1986年の東京サミットの公式晩餐会に選ばれた。帝国ホテルには「東京なだ万 」がある。『なだ万』には夏目漱石や森鴎外も足しげく通ったといわれる。東京都内、横浜、箱根、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、福岡、仙台、札幌など国内に26店舗ある。

 < 東京の「なだ万」にする…?それとも横浜でも良いの? >
家内からそう尋ねられたとき最初は「東京が良いな」って答えていた。
しかし一時間以上かけて帰宅するのは疲れるだろうから、
「やっぱり往復を考えると横浜でいいかな」ってことになった。

もちろん、老舗料亭のディナーを自腹で食べに行くほど私はリッチじゃない。昨年亡くなった叔母への香典返しに頂いたカタログギフトから選んだなだ万ペアディナー利用券を使ってことなの…さ。「なだ万」ならどこでも良いということだったから東京も選択肢に入れたってわけだ。

横浜なだ万は、みなとみらいのスイカをカットした形のインターコンチネンタルホテル」の4階にある。窓からは横浜港やベイブリッジを見渡せ、見晴らしは抜群だ。
3日前までに予約必要とのことだったので奥さんが電話した。
< 窓ぎわの眺めの良い席がとれたらお願いしたいけど… >
< 今日でも、明日でも大丈夫ですよ。窓ぎわの席をお取りできますよ >
やっぱりコロナでお客さんが少ないようだ。まあ…今はどこへ行ってもガラガラだから、ふだん予約がたいへんな人気店を利用するにはとても好都合だ。
そんなわけで、お盆の最終日に行くことにした。
席は、上の写真の右側のテーブルだった。広く横浜港を見渡せた。

献立をみたら「会席料理」だった

ひとくちに「和食」と言ってもいろいろある。
僧侶の日常食からきた「精進料理」、茶事を催す時に茶をふるまう前に供する食事の「懐石料理」、料理店や旅館などで献立のある料理を「会席料理」。大別すればこの程度かな。
ホテルのコースや日本料理店や割烹などで出てくる日本料理はほとんどがこの「会席料理」。

「会席料理」は、旬の食材が出て 揚げ物、酢の物が酒の肴として振る舞われ、最後にご飯とお味噌汁香の物が出されるもの。「御献立」にはフレンチのコース料理同様、素材や料理法が簡単に書かれている。

「旬菜」と「合肴(あいざかな)」

コースメニューを出す時の最初に出す料理は「前菜」で「先付」ともいう 。 ここでは「旬菜」と呼ぶようだ。 幾種類もの料理がチョコットずつ盛ってある。ほんとに少量なんだけど、これが一番楽しい時だな。
「旬菜」と「合肴」が最初に運ばれて来たときに、思わず「坪庭みたいだな」って言ってしまった。
左の丸盆が「旬菜」で右上の脚付き鉢が「合肴」。右下のガラス鉢は「造り代わり」。この三種が最初に出された。こんなにカラフルに盛り付けてあるのは初めてだ。小鉢の一つひとつを写真に撮りたいほどだが 仲居さんの眼があるからそれはやめた。いろんな器にキレイに盛り付けてあるのを見るだけでも楽しい。ひと鉢づつゆっくり味わった。食べ終わったとき「もう、これで帰ってもいいや」もちろん冗談だけど、そう言ってしまった。

「焼物」は「鉢肴(はちざかな)」ともいう

「焼物」は懐石料理の「鉢肴」にあたる大きな器に盛り付けられて提供され、 懐石料理 では焼物を一人ずつ取り回し、器を鑑賞する儀礼が設けられる。料理を盛り付ける「器」も料理と同じぐらい大切な要素だから美しい器をそこへ集まった皆で鑑賞する目的もある。
ここでの器もそれは見事な皿だった

このコースには飲み物が一品付きだったから、最初に白ワインを頼んだ。その後に日本酒を頼んだら、すごく大きな鉢に、細かく砕いた氷に包まれた冷酒が来た。一合の酒でもこんな演出がなされるとリッチな気分になるな。

「止肴」は酢肴(酢の物)または和え物

「止肴」は茶懐席で使われる言葉。 原則として酢肴(酢の物)または和え物のことなのだが、ここでは天ぷらなどの油物(揚げ物)が出された。次の品目の食事の前に出される、口直しの意味もある小鉢。 止肴が出された後は、酒も終わって香の物と汁物でご飯を食べて終わる。

「食事」は、 ご飯・止め椀(味噌汁)・香の物(漬物)

「食事」は「ご飯」または「そば」の選択だった。
私は「そば」で、家内は「ご飯」を選んでシェアーした。
< ご飯は、北海道の「ゆめぴりか」の窯炊きでございます >って言われた。
札幌にいたときにはいつも 「ゆめぴりか」 を食べてたから、銘柄は知ってるわい。
しか~し、この 「ゆめぴりか」は 美味かった。 米粒の外側はサラサラで中はモッチリ。米自体がちがうのか炊き方で違うのかワカランが ナンジャコレと思うほど素晴らしい味だった。 赤味噌仕立ての汁椀には、本場の八丁味噌で育った私だから一家言あるのだが、 出汁が違うのか?めっぽう良い味を出していた。 私が世の中で一番スキなのが「鰻」。ほんの 一口 しかなかったけど幸せを感じた。

う~ん、この蕎麦は大変結構なお味でした。細いんだけどすごくしっかりしてる。
昨年、椿山荘の「無茶庵」で食べたソバはもう少し太かった。そこで初めてソバの風味を堪能したのだが、このソバはもっとデリケートな味わいだ。
私が自宅でうつ手打ち ソバは、そば粉8割だから素材だけは負けてない。でも、私のは細く切れてないし茹でるとき切れて短くなるから家族の評判はもう一つ。やっぱり本物は違うな。

そして「デザート」は、いろんな果物が詰まった水菓子だった。

どうやら、税込み1万円だったらしい。

香典返しのカタログギフト「なだ万ペアディナー利用券」だから、料理の値段がいくらなのかわからない。でも、香典が5万円で、半返しの2万5千円。 ギフト分で 5千円 をマイナスして2で割ると一人分が1万円になる。写真下の「なだ万彩り酒菜コース」が飲み物一品付きで、税込み1万円。献立内容からみてもほぼこれに相当するようだ。

そうしてみると、今どきのディナーでは和洋に関わらず、 最高レベルの食事を頂くのには二万円ぐらい出さないといけないかも。それもアルコール抜きで。

私も家内も、もともとそんなに多く食べる方じゃなかった。
昨年の秋の九州旅行で、由布院の亀の井別荘での夕食も、量が多すぎて少々残した程だった。年取るにしたがって、ますます少食になっていくから、今回程度に美味しいものを少しづつ味わう食事がちょうどよくなってきた。
まあ、宿泊先で食べるなら別だが、 今回のように 和食のディナーを食べにわざわざ出かけることはないだろう。そう思うと「なだ万」の会席料理は貴重な体験だと思う。

けっきょく私たち以外のお客さんは一組だけだった。コロナの影響が如何に甚大かが伺われた。こんな状況が続いたら、いくら「なだ万」だって高級和食からカジュアル路線へとグレードを下げざるをえないのでは…。ちょっと気がかりだった。

ホテルの正面からタクシーで帰った。7分ほどで帰宅できた。
タクシーの中で奥さんが言った。
< これで今年のお盆が、終わりました…ね >

私が忘れないように記録する意味も込めて この記事を書いた次第なり。

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