1020 池袋がスゴイことになっていた

東京

「隈さん」が関係した豊島区新庁舎をチョックラ覗いてみようと思っただけなんだが、区庁舎の移転に関連して、池袋駅周辺がとんでもないことになっていた。

かつての池袋はダサかった

私が東京にいたのは1971~77年の6年間。東上線沿いに住んでいたから池袋が一番身近なターミナル駅だった。しかし当時の池袋は格段に“ダサイ街”扱いされていた。
東口に西武、西口に東武があり、デパートが東西逆転のため分かりにくさ満点。さらに街が西と東とで大きく分断され、ほとんど駅のなかで完結可能な「えきぶくろ」といわれた。駅を少し出れば昭和を思わせるような繁華街で猥雑な雰囲気の横丁があった。池袋は「地味」で「ダサい街 で、新宿・渋谷と比較するとイメージではとてもかなわなかった。

東口にあった家庭料理風の「大戸屋食堂」は、安価なことから貧乏学生が群がっていた。私もこのオンボロ食堂にしょっちゅう通っていた。それがまあ何ということでしょう、今や「おしゃれな定食屋:大戸屋ホールディングス」に変貌して全国展開~海外フランチャイズと、驚くべき展開をとげた。近ごろの大戸屋は15億円の大赤字で苦戦しているようだが、まあそれは置いといて。40年後のいまや池袋はスゴイ街になっていた。

びっくり仰天、超高層マンション一体型本庁舎

池袋駅が属する豊島区役所庁舎は、とうじ都内で最も古かった。 となりの豊島公会堂は建設から60年以上が経過し老朽化で何とかしなくちゃいかん状態だった、 このため豊島区は一念発起して 役所を新庁舎の「としまエコミューゼタウン」へ移転・建設した。
旧区役所は2016年2月で閉館し、その後隣接する区役所本庁舎・分庁舎・区民センターとともに取り壊された 。これは豊島区の行政における大改造だった。

新庁舎となった「としまエコミューゼタウン」は、東豊島区南池袋に2015年3月に完成した超高層ビル。高さ189mのビルには、豊島区役所と超高層マンションが同居する。これは日本初のマンション一体型本庁舎だという。 432戸(うち地権者分住戸110戸)”総事業費435億円”の半分以上は11階から49階までに入るマンション322戸分の分譲販売収入で賄われている。住戸専有面積 70㎡台、3LDKが約80%。7,000~8,000万円が中心。その結果、 これは総事業費435億円も税金拠出ナシだという。

隈研吾さんの建築デザイン

私の、新庁舎でのお目当ては「隈研吾さんの建築デザイン」と区役所の回廊状の廊下を利用した「庁舎まるごとミュージアム」だった。

10階から1階まで下りられる階段を設け、 屋上庭園、壁面緑化、 豊島区の生態系を体験できるせせらぎも設けてある。

隈さんの設計事務所のHPには以下のような解説がある
< 区役所と集合住宅と垂直型庭園とを合体した、市民に開かれた複合型のシティホール。
一本の巨大な樹木のような建築をめざした。葉っぱという粒子が樹木の環境を調整するように、エコヴェールと名づけた多機能型環境調整パネル(太陽光発電パネル、再生木ルーバー、垂直緑化パネルetc)で、建築を柔らかく包み込んだ。
地域の自然植生を再現した垂直庭園
「豊島の森」は、市民に自然とを結びつけるための「開かれた森」で、せせらぎも流れる都心部のオアシス空間には、子供達のための自然教育の場所ともなっている。>

豊島区庁舎(としまエコミューゼタウン)
区役所と集合住宅と垂直型庭園とを合体した、市民に開かれた複合型のシティホール。一本の巨大な樹木のような建築をめざした。葉っぱという粒子が樹木の環境を調整するように、エコヴェールと名づけた多機能型環境調整パネル(太陽光発電パネル、再生木ルーバー、垂直緑化パネルetc)で、建築を柔らかく包み込んだ。地域の自然植生を再現した...

<豊島区新庁舎の景観とデザイン>
http://www.aacajp.com/wp-content/uploads/2016/12/sympo-toshima.pdf

内部もなかなか見ごたえがあった。

中央部の吹き抜けにはすごい存在感のエレベータスベースがあった。原発のよう?にも見える(なんとなくちょっと怖いイメージだから)。

「庁舎まるごとミュージアム」

この庁舎の、3階から9階までの中央部には設備室が配置され、その周りを廊下が回廊状に巡っている。その空間を利用し、庁舎をまるごと美術館・博物館に見立て、豊島区にゆかりのある文化・芸術に関する展示をおこなう。各階の展示可能スペースにピクチャーレールやライトを設置し、これを「庁舎まるごとミュージアム」と呼んで豊島区の行政や事業に関連する展示まで幅広い展示をおこなう。

・展示作品リスト(PDF:236KB)

豊島区からは、池袋モンパルナスやトキワ荘などを舞台に、漫画による表現文化の源流がある。昨年は「マンガ・アニメ区役所 マンガのマンガ展 」、 あるいは「これも学習マンガだ! ~世界発見プロジェクト~」、 「マンガのマンガ展 ~過去と現在、描き手と読み手~」などと、なかかな意欲的な展開を見せてる。
通路の掲示によると、来年1月には森山大道による池袋モンパルナス展をやるらしい。ぜひ観てみたいと思う。

池袋の大改造「豊島プロジェクト」

新庁舎の移転を期に、豊島区は2015年に「豊島区国際アート・カルチャー都市構想」を策定。文化を軸に据えた行政主導のまちづくりがはじまった。
・庁舎跡地活用プロジェクト(Hareza池袋)
・国際的なアートプログラムの展開
・マンガ・アニメを活用したまちづくり
・「劇場空間」の創出

などがあるようだが、あまりにいろいろな開発がありすぎてワケワカメ。
<実現に向けた主なプロジェクト>https://www.city.toshima.lg.jp/artculture/toha/project.html

旧庁舎跡地再開発の「Hareza池袋」はスゴかった

「跡地一帯」には、オフィス棟のHarezaTower(地上33階 地下2階)、ホール棟の東京建物 Brillia HALL(地上8階 地下1階)、新しいとしま区民センター(地上9階 地下3階)、ならびに改修された中池袋公園からなるHareza池袋が整備され、2020年7月1日に全体開業を迎えた。

イケバスにも乗った

新庁舎から旧庁舎跡地「Hareza池袋」へは「イケバス」に乗って移動した。 イケバスは真っ赤に塗られた電気自動車。なぜかタイヤが5つも並んでいてイモムシの ようにも見える。とっても可愛らしい。内部の装飾も寄木細工を思わせる楽しい意匠が凝らされている。1時間に3本、高齢者は100円だった。

豊島区新庁舎「としまエコミューゼタウン」 をチョット覗いて…、と思って気軽に行っただけなんだけど、池袋の変貌ぶりが 予想外にスゴすぎて面食らっちまった。
40年の時の流れを痛感した。

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