「すべりにくくない靴」とは分かりにくい表現なのだが「つっかからない靴」のこと。もっと分かりやすく言えば「つまづきにくい靴」ってことだ。
「おっ、トット…」「うッ、チョ…」
少し前のこと、デパートを歩いている時、つま先あたりが幾度も「つっかかった」。
アレおかしいなと、あえて靴底を通路床に押し当てて滑り具合を試してみたところ「グッ」とくっついた。「オイオイちょっとこれは危ないナ…」と思った。
デパートの通路はピカピカに磨き上げられているから一見ツルツルで滑りやすそうに思えるのだが、じつは驚くほど滑りにくい。とりわけつま先を押し当てるとピタッとくっついてしまう。高齢化すると足先が上がりにくくなるというが、こんな「つっかかるような靴」のせいで、つまづいて転倒したらタイヘンだ。
帰宅後、持っている靴底の滑り具合を調べてみた。
危ないと思える程にひどくつっかかる靴はその一足だけだった。他の靴はそれほどでもなかった。
「う~む、このつっかかる靴は危ないからもう止めよう。つっかからない新しい靴を新調しよう。」ということで買いに行った。
ウオーキングシューズコーナーへ行った
高島屋の5階スポーツ用品売り場にウオーキングシューズコーナーがある。次に靴を買うのならここで買おうと以前から決めていた。アシックスのウォーキングスニーカーがセール価格で7000円だった。「お~、こりゃお買い得だな。」履いてみたらピッタリだった。「お~、こりゃ結構じゃないか。」
そうそう、今日の目的は【つっかからない靴】【すべりにくくない靴】を選ぶんだったなってことで、ピカピカに磨かれた通路床に押し当ててみた。
「ピタッ!」とくっついた。「ダメだこりゃ。」
デパートの【滑りにくい床】に【滑りにくい靴底】のウオーキングシューズという組み合わせは、最もストップ性が強い状況であるわけだが、この靴はいただけない。
滑りやすい靴はないの?って聞いてみた
「あのさ、もう少し滑りやすい靴はないの?」って、店員さんに聞いてみた(我ながらヘンな表現だとは思ったが)。
そうしたら店員さんは困ったような顔をして言った。
「滑りやすい靴 …?ですか ~ 。あの~、そもそもウオーキングシューズは、歩いたり走ったりしやすいように【靴底が滑りにくい】ようになってます。だから「滑りにくい」ものはあるけれど「滑りやすい」ものはありませんよ。つま先部分を少し上げたり、先端部分のパーツを工夫したり柔軟にして、つまづきにくい設計になっていますが … 」
紳士靴売り場へ行った
たしかに、そりゃそうだってことで、アシックスウォーキングは諦めて、6階の紳士靴売り場へ行った。この売り場ではまず既成靴の王者「ジョンロブ」やジェームズボンドも愛用で知られる「チャーチ」を勧められた。
「あのね、私はもう退職しちゃったからそんな高級靴は要らないの。もっと気軽に履けて、しかもつっかからないのが欲しいんだよ。」そう主張した。
従来は「ファッション性」+「履きごこち」で決めればよかったものに加えて【すべりにくくない性】も考慮しなくちゃならないから、老後の靴選びはとってもタイヘンだ。
紳士靴売り場にも「滑りにくい」ことをウリにしたものは多い。でも私の求めている物件はその反対だ。だから「靴底の滑りの程度」は、いちいち通路まで靴を持っていき、ツルツル床に押し当てて確認しなくちゃならない。あれを履きこれを履き気に入ったら、それを持って通路へ行き、つっかかり具合を確認した。売り場と通路とを行ったり来たりして半刻。
奥さん曰く、「あんた程、履きごこちにウルサイ人はいないよ。皆んなそれほどこだわらないよ。」これまでも毎回、そう文句を言われたものだったけれど、足に合わないものを我慢して履くのは無理だ。ま~そんなことで、最初はできるだけお安いものをって思っているのだが「気に入ったもんをなんとか」って考えるから次第に値段のことは忘れて高額商品に手を出してしまうのだが … 。
スペインの【ピコリノス】
「紐靴にこだわらなければこんなのもありますよ。」って、店員さんがけっこうシャレオツな茶色の靴を持ってきた。シューレース(靴紐)部分がゴム仕様でスリッポンのよう。
「お~、こんなタイプはこれまで履いたことが無かったナ」
履いてみたら「ビシッ」とした心地よい圧迫感。こんな感触は初めてだった。
「これはスペインの【ピコリノス】ってブランドなんです。」
つい走り出したくなるようなスポーティなイメージだ。こりゃまた結構なデザインだけど、問題の滑りにくさはどうだろう…。
「あ~、マアマア滑るぞ。これならつっかかりにくそうだよ。」
だいぶ時間がかかったけれど「底が滑りにくくない靴」をやっと買うことができた。
いまある靴はこれ
<左から>
【PIKOLINOS(ピコリノス)】(今回、買ったもの)
1980年代に創業した比較的新しいブランド。職人の手仕事にこだわった造りで注目を集めた。味わいある質感や色合いがステキ。旅行に行ったり東京へ行ったする時、オシャレに履きたい。
【Sioux(シオックス)】
1954年創業ドイツのコンフォートシューズブランド。日本での取り扱いは少なく知る人ぞ知るブランド。これはドライビングシューズだから薄底ですごく軽快。普段履きに気軽に使用している。
【Salvatore Ferragamo(フェラガモ)】
フェラガモは、今やイタリアを代表するトータルファッションブランドだがスタートは靴の製作。この靴は馬具(ホースビット)の形を模した金具が付いたデザインの「ビットローファー」でフェラガモの刻印入り。冠婚葬祭用として購入したもの。見るからにスマートで美しい。
【MEPHISTO(メフィスト)】
創業1965年、フランスのウォーキングシューズブランド。「世界で最も快適なウォーキングシューズを作りたい」と、徹底的に「快適性」を追求した。疲れにくい靴として有名。写真は「MEPHISTO CRUISER 742」この他にサンダルもあるからメフィストは合計3足持っている。
【JADE(ジェイド)】
ダンスシューズが得意だということだが、このメーカーのことは良くわからない。これはスラブニット生地デザインシューズで、ダイヤル式カジュアルダンスモックスニーカー。
おわりに
靴を買った帰り道「大切に履かせていただきます。」と言ったところ奥さんが応えて言った。
「大事に履かなくてもイイの。しっかり歩いて履きつぶしてくださいナ。」
「 … そうですね、ヘイ。」
そのうちに、ダサい「介護シューズ」しか買えなくなるだろうから、靴も今のうちに楽しんでおきたいものだ。
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