0901 サザエさんじゃなかった

老いを感じる

タダなら行くよ

「サザエさんの展覧会があるんだって、行きますか?」奥さんが言った。
「招待券なの?タダなら行くよ。」
「800円が無料になるって、それから『杉原千畝展』ってのもあるけど、この人知ってる?」
「ああ…知ってるよ、ユダヤ人を助けた人だよ。」

その招待券は横浜高島屋の「Card Members News 」に掲載されてたもの。毎月送られてくるそれは、A4・ヨコ3分の1ほどの小さなサイズのお知らせだ。

奥さんから手渡されたNewsをチラッと見ると、「サザエさん展」のとなりに「杉原千畝展」の招待券もあった。「期日は一緒で、これも8階か。じゃあついでに見られるな」と思った。

入り口は、サザエさん一色

さて、高島屋8階・催物会場の入り口に着くと正面にサザエさんの巨大プリントが貼ってあり、サザエさんのテーマソング「 ♪ オサカなくわえた… ♪ 」があたり一帯に流れていた。
「撮影可、SNSで拡散してください」とある。「さすがに今どきだ、撮影可なのか」と、嬉しかった。

えっ、これは日本橋なの?

Newsの招待券欄を見せると、もぎりのおね~さんが言った。
「この部分を切り取らせてくださいね。残りはまた使えますから」そう言って、「サザエさん展」部分をハサミでカットし、戻してくれた。

「あのサ~、杉原千畝展はどこでやってるの?」
「あっ…、こちらは日本橋高島屋での開催でございます。」
「へっ?」
私は、てっきり横浜高島屋の8階のどこかでやってると思ってたから尋ねたのだが、ゼンゼン勘違いで日本橋だった。
「えっ、日本橋なの (゚∀゚)、そっ、そうなの … 」
よく見るとたしかに日本橋って書いてあった。

サザエさんじゃなかった

最初の展示部屋の壁をみて、私は首をかしげた。
青地に白抜き文字で「エイケンクラシカル」との解説パネルがあり、最初の展示が「仙人部落」だった。「仙人部落…?知らないなあ」。見渡すと、その先には「鉄人28号」の等身大フィギュアが見えた。「アレ~、サザエさん展じゃないのか?」

この展覧会のタイトルは、よく見ると
アニメ サザエさんとともに50年 エイケン制作アニメーションの世界で、「エイケン」というアニメスタジオの50年にわたる作品を紹介する展示だった。
(*)エイケン (企業) https://ja.wikipedia.

しかしだよ、言い訳になるけれど、下の写真のように招待券はすごく小さな印刷物だ。
だから、老眼の私の眼には「サザエさん」の文字しか見えなかったんだよ。
下右のパンフレットは、会場を出てから見つけたもの。バカでかい「さんの文字だ。これを見ても勘違いしちゃったかも知れない!

展示はもうちょっと…工夫できるのでは

会場には「エイケン」が制作したアニメのセル画を額装して展示されていた。最初の「仙人部落」につづいて、「鉄人28号」 「エイトマン」 「スーパージェッター」 「宇宙少年ソラン」があった。これらは私が小学生の頃に自宅でTVで見ていたアニメだ。しかし、展示されているその後のアニメ作品は、タイトルは知ってるのだがTVで実際に見た記憶はなかった。
会場中程に、「エイケン社」における初期アニメーションの制作プロセスを紹介した10分ほどの記録動画が流され、その素朴な手仕事ぶりが紹介されていた。

壁面には額装したセル画が架けられているのだが、それは塗り絵だから何枚あっても単調でつまらない。もうちょっと工夫できないものかと思ったな。
それに比べてパーツの色彩設定、背景の手塗り画面、手書きの詳細な絵コンテなど、そうした資料には手仕事的な人間味が伝わってきて興味深かった。
で、肝心の「サザエさん」だが、会場の終わりごろに3スパン使って展示してあったよ。

そういえば、昨年行ったマンガ展で私が感動したのは、手書き原画からにじみ出た漫画家の「手仕事的な凄さ」だった。でも、セル画からはそうした原作者の人間味や手仕事の凄さや職人技がまったく伝わってこない。だからどこかつまらない気がしたのだろう。

警備のオッチャンに叱られた

会場入り口に「撮影可、SNSで拡散してください」との表記があったことから、私はスマホでビシバシ撮っていた。
あまり警備員に見えない小柄なオッチャンが近づいてきて、無言でにこやかに壁を指差した。そこを見ると撮影禁止の赤マークがあった。
しかしそれを見ても、私は禁止じゃなくて ”撮影OKなんだと思ってしまった。だから「なんでOKなのに、止めに来たんだヨ~」と訝しがりながらも撮るのを止めた

その後、少ししてから気がついて呆然とした。
「えっ!私は、撮影禁止の赤マークをOKだと勘違いしてたのか! 」
禁止の赤マークが見えていても、OKだと思ってしまってたわけだ。

なぜ、勘違いしたのか?

どうしてこんな勘違いしちまったんだろう。
おそらく「思い込み」が一番の原因だと思った。

<会場入口の「撮影可、SNSで拡散してくださいが、非常に強くインプットされて会場内全て撮影可」だと思い込んでしまった>わけだ

各所に貼ってあるデカイプリント脇にも「撮影可、SNS…パネルがあった。その近くには「撮影禁止の赤マークパネルもあったのだが、思い込みは修正されなかった。

原則「 撮影禁止 」で、一部が「撮影可」という会場は多くある。「撮影可」だろうと撮っていたら「禁止」ゾーンだった。だから警備さんから注意されたことは、これまでも幾度かあった。
でも、今回の勘違いは重症だったと思う。

<チラシ一部の目立った文字だけチラッと見ての思い込み>
<会場の、撮影可否ゾーン区分の思い込み>
どうやら年を経るごとに注意力散漫になっているようだ。

 …この改善のためには…
情報は、小さな文字までチャント読む>こと
撮影ゾーンは部分と全体をチャント理解すること>
今回の件を強く反省して今後に活かすようにしよう。

で…、杉原千畝展は、横浜じゃなくて日本橋高島屋だったよ」って奥さんに伝えたら
「えっ、エ~っ(゚д゚)!、そうだったの … 勘違いしてた」
奥さんも驚いて苦笑した。小さな文字が読み切れていなかったわけだ。

ところで、盗撮で検挙されたTV番組を先日見た。
ズボン履いてる女性を後ろからスマホで撮影した、お尻フェチの男だった。ふ~む、こういうことでも盗撮になるのか、注意しなくちゃイカンなと思った。
<盗撮で捕まらないように注意すること(T_T)
私の人生訓に、これも追加しておこう。

コロナにも関わらずデパ地下は混雑気味だったけど、展覧会場にはほとんど人がいなかった。私が会場にいる40分ほどの間、お客さんは他に5人だったよ。

おわり

 

 

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