「日展」には「工芸美術」という分野がある。
「工芸美術」は、産業工芸品と区別するために用いられる用語で、鑑賞性を主体に美術面を重視した作品が多い。ともあれ、きわめて多様な素材や技術が用いられているため、わけわかめの分野だな。
現在、日展のトップに立つ理事長の「奥田小由女」氏は工芸=人形作家で、昨年「文化勲章」を受章した。彼女の夫は日本画家の「奥田元宋」。ともに「文化勲章」を受章している珍しい夫婦だ。
「工芸」の公募展といえば「日本伝統工芸展」という団体もある。
両者はどこが違うのかってことだけど、「日展」から分かれたのが「日本伝統工芸展」。
かつて日展の工芸分野で力を持っていた「山崎覚太郎」と「松田権六」の2人が対立を深め、「松田権六」が新傾向の作家を糾合し1936年に結成したのが「日本伝統工芸展」。
「日展」が、伝統工芸の枠を超え独自の表現となして芸術性を高めること。それに対して、「日本伝統工芸展」は、我が国の伝統工芸の「わざ」を継承し、その「わざ」を現代に生かすこと、とか…
そして、日展の頂点が「芸術院会員」であり、伝統工芸展の頂点が「人間国宝」なんだってさ。
日展の展示会場に配置された陶芸や漆芸の作品を観て、「う~ン?これはオブジェだな」って私は思った。壁面にかけてある染色や織りの作品を観て「う…ム?これは絵やデザインだな」って思った。
昨年、日本橋三越で開催された「日本伝統工芸展」を観た時にはそのような印象は受けなかった。「伝統工芸展」作品のスゴ技を観て、「コリャとんでもない技術力だ !…は~ッ」とため息をつくばかりだった。今回の「日展」の工芸作品と比較して、私は「伝統工芸展」の作品の方が好みだと感じた。
まあ、いろいろあるわな、おしまい。
明日は「彫刻」です。