絵画棟は8F建てだったが、さすがに「彫刻棟」は低い3F建てだった。
彫刻展示は15名。エントランスの内外に置かれている石彫の2名は、ともにまだ彫っている途中のように見えた。
こりゃ「遊園地」のようだ。
床をはう電気クラゲ、米粒で出来たドレス、シーガル調の色付き男がTV視聴中。揺れる箱や乳母車婆~さん。いずれもナンセンスでバカバカしい。
ベストワン登場
そこに現れた「巨大レインボー毛糸」にビックラこいた(TOP写真)。
噴水や滝のようにもみえるし、近くで見上げると大仏さまのようでもあった。これほどのものは相当の発想力と技術力がなきゃ造れない。この作品が「彫刻棟」でのベストワンだな。
面白すぎた
その後も、なんの素材かもわからない得体の知れない物体ばかり。もちろんふざけて作ってるわけじゃないだろうが、ちょっと変化球すぎる。パブリック彫刻として街中へ置いたら市民からバッシング受けそうなしろものばかりだった。でも、面白すぎた。
「何か?」は何か
これら藝大卒者の彫刻作品には共通して或る魅力があった。先日観た「日展」のうんざり彫刻とは大いに異なる「何か?」がある気がした。
後日、近くの神社の脇を通った際、「あ~、この感じなのか…」って思った。
「神社」の境内には目には見えない何か「気」のようなものを感じるものだ。もちろん観光地化された神社にはそんなもの感じられないが、スピリチュアルなエネルギーが伝わってくる気がする。
彫刻人たちは彫ったり削ったり穿ったり、現物の「モノ」に触れて制作することが仕事だ。自分の皮膚を通じて、粗さや硬さ・温度・材質を知覚することでモノづくりする。おそらく触覚のセンサーレベルがトレーニングによってそうとう向上してるだろうから、「モノ」から「気」を引きずり出せるのでは…? って思えた。
彫刻棟を回っているうちに「元気が湧いてくる」気がしたのは、「バカバカしい作品だナ~」と笑わせてくれることと併せて、そうした「何か」が伝わってきたからかも知れない。
そういえば「絵画棟」でも
そういえば「絵画棟」をひと巡りしたときにも多くの絵画作品に共通する「何か?」を感じた。作者たちは、「自然」とくに「森」のようなイメージを無意識のうちに伝えようと望んでいるのでは… って思うようになった。ただしそれは「彫刻棟」で感じたような強いエネルギーじゃないから分かり難かったのだろう。
ああ、楽しかったと思いつつ彫刻棟を後にした。