「柚木沙弥郎の100年 -創造の軌跡-展 」を観に行った
「柚木沙弥郎」は、染色家で女子美の工芸科で教え学長も務めた人。
1922年生まれの今年100歳。今回はその記念展示だった。
会場は相模原キャンパス内にある展示施設の「女子美アートミュージアム」。
「女子美」も一度覗いてみたかったから丁度よい機会ってことで行ってみた。
「女子美」はスゴク辺鄙
八王子には20以上の大学がある。
これは国・文部省が推進した1970年代の郊外移転ブームによる。まだ未開拓で土地が安かったからってのが一番の理由のようだ。
ムサビやタマビは八王子あたりにあるのだが、なぜか「女子美」は相模原にポツンとある。
八王子にある大学に入学した学生からは「東京の大学に入学したら地元より田舎だった…?」とか言われるそうだが、まさに「女子美」はその好例だろう。
「周囲を公園に囲まれた落ち着いた環境と広大なキャンパスの中で、作品制作に思う存分打ち込めるよう、学習環境・設備の充実に努めています。」
って、大学の紹介文にはあるけれど、正直なところ学生には残念だろうな。
横浜から1時間
アクセスを調べたところ驚くほど行きづらい。
<JR古淵駅からバス15分(1時間に2本)>
<小田急・相模大野駅からバス20分(1時間に3本)>
これしか方法が無いので、横浜からは1時間以上かかった。
JR古淵駅からのバスは、市街地を抜けるとのどかな雰囲気の林や畑の脇を通る。
「ム…ッ?アリャ何だ??」
終点の「女子美」に到着する頃、仰天するほどの巨大温室が見えた。
女子大だけありガードが硬い
「ミュージアム」は道路から直接入る。
だから大学構内には入れないし残念ながら「学食はご利用できません」だった。
「ミュージアム」は、入場料500円だが65歳以上は無料だから私はタダだった。
近ごろは65歳ないし70歳以上は無料ってのが多くなったからありがたいナ。
名前が… アレ?
作品を観ながら、ハタと気づいた。
「Yunoki Samiro」=[ゆのき さみろう]
って書いてある。
「ン~?」
私はこれまでズ~っと
「柚木沙弥郎」=[ゆずき さやろう]
って呼んでいた。
「アレ~間違ってたのか?」
展示はスッキリ
こじんまりした会場だが高さがあり気持ちが良い。
作品は期待どおり。
100年の回顧展とのことだが古さを全く感じない。モダンで若々しくて面白かった。
「型染」「広幅注染」による6メートルの木綿にダイナミックなシンメトリーの模様を施した作品。書籍の装丁やポスター、絵本などのグラフィック作品。
芹沢銈介に弟子入りしただけあり芹沢の作風に似ていることが良く分かる。
道具展示や作業VTR紹介もあり、作品を見せるというよりも長年にわたった「仕事を見せる」展示スタイルだった。
授業風景を撮影した写真や、教えを受けた卒業生たちが所持していた「制作ノート」公開など、教育者としての歩みも振り返ることができた。
展示面で関心したのは床に敷いた曲線的な白板。このおかげで吊るされた作品に近寄る際のリミットが分かる。ロープを張ったり白黒のテープを貼ったりする方法に比べるとず~とスマート。これはステキな工夫だ。
正午に近づくにつれ観客が多くなった。
「こんなに不便な所なのに、いっぱい見に来るのは不思議だ?」って言うと
「すごく人気が有るんだよ」って奥さん。
「とっても気持ち良い展示だったな~」
って会場を出た。
つづく