さいきん横浜駅前に「彫刻通り」ってのがあることに気づいた。
これまで幾度も通ったことがあり、なにやらデカイ彫刻があるとは思っていた。
幾何学的な抽象形体で金属製でけっこうビックサイズ。
でも、ビルと車道に挟まれた歩道に設置されてるから生活の邪魔でもある。
5点ほどしか無いから、この通りを「彫刻通り」って言われても違和感を覚えてしまう。
作者名とタイトルを記したプレートはあるのだが作品解説は一切ない。
多少調べてみたが「彫刻通り」の命名の由来も不明だ。
どうも「名前負け」した通りだな。
いまや全国いろんなところに彫刻が設置してある。
そうした作品は、いわゆる「パブリック彫刻」と呼ばれる。
私は長らく美術に関わってきた人間なのだがいつも疑問を感じていた。
「いつから街中にこんなもの設置するようになったのか? 」
「はたして 彫刻を設置することにどんな意味があるのか?」
彫刻作品の制作・設置は高額だ。しかも一旦設置された作品は放ってはおけない。
作品の汚れを磨いたり周辺の草取りなど 維持管理費もばかにならない。
観る側に立っても 設置当初はいざしらず、そのうちに多くの住人は目を止めなくなる。
日常生活の中で、彫刻の存在自体を意識しなくなる。
あっちでもこっちでも、なぜそんなものを設置してきたのか?
甚大な経費のかかるものを無目的で設置するバカはいない。
彫刻の設置理由は何か?
それを理解するのは厄介そうだから、私はあえてこれまで考えないようにしてきた。
そういえば「ヨコハマトリエンナーレ」だ
「彫刻通り」見物の帰り道のことだった。
横浜駅西口、高島屋の正面外壁に巨大な垂れ幕を見つけた。
「ヨコハマトリエンナーレ2020開幕 光の…」
あ、トリエンナーレが始まったのか?
近頃はネットとYouTubeでこと足りているからTVをほとんど見ていない。さすがに全く見ない日はないが、天気予報にニュースも含めて一日に10分程度しかTV画面を見ない日がある。だから地元のローカルニュースに気づかないことも多くある。 そんな感じだったから「ヨコトリ」のことはすっかり忘れていた。
私はロートルだけど何かお手伝いでもできるかも…と、一年前にボランティアにエントリーした。
たま~にお知らせが来たのだが「会期近くになったら連絡します」ってのが多かった。
でも3月以後になってもほとんど連絡が無かった
今年3~5月開催予定を延期していた「さいたま国際芸術祭」は7/2に中止が決まった。
だから、てっきり「ヨコトリ」も中止だと思ってた。
だいぶ無理したオープンだ
林文子市長は会見の際、「芸術祭の中止や延期が多い中、覚悟を持って最初にやる。感染者を出さないよう取り組み、芸術文化活動を再開できる例を示したい」と決意を述べた。
まあ、そんなに頑張らなくても…って思うけど、総事業費10億円のうち、市負担は6億円弱だ。
予算がついてれば使い切るのが行政の仕事だろうから、やるしかないか。
コロナのため海外作家たちが来日できずにいたのだが、リモートで日本のスタッフが設営代行したそうな。観客はコロナ対策として入場は日時指定の予約制で、来館者はマスク着用とのことだ。
ちなみに第5回(2014年)の記録では、会期90日弱で入場者数21万人だった。
今回は、その半数の13万人と想定してるそうな。
来場者がどんなに少なくてもコロナで言い訳できるわな。
さて「ヨコトリ2020」の会期は7/17~10/11、会場は「横浜美術館」と「プロット48」の2会場。
「プロット48」は5月まで 「横浜アンパンマンこどもミュージアム」 だった施設 (写真左) 。「新」アンパンマンミュージアムは21地区に新築移転した (写真右) 。 「プロット48」はみなとみらいにある61街区のうち48街区にあることからそう呼ばれる。当面は空いてるから 「ヨコトリ」 で使うことにしたようだ。
わたしには国際展が理解できない
「ヨコハマトリエンナーレ」は、横浜市で3年おきに開催される現代美術の国際展覧会。
第1回の展覧会開催は2001年。第2回展は2004年に開催できず翌2005年に開催した。
以降は第6回展(2017年)まで3年おきに開催され、今回が第7回展になる。
仕事柄、たまにはマトモな現代美術展を見ておかなきゃ…
そんな消極的な理由で、 私は2014年の第5回展を見に行ったことがあった。
その時の主要会場は「横浜美術館」と「新港ピア」、ディレクターは森村泰昌。
いろんなものが展示してあったのだが、
しかし… 困った。
「う~ン、この企画をいったいどう理解したら良いものか?」
基本は「ゲ…現代アート」なんだろうけれど、 現代アート 自体がよ~わからんしろものだからそこに載っかった「芸術祭」に寄せ集められた作品、そして芸術祭全体をどう理解すべきなのか?
理解に苦しんだ。
それは「札幌トリエンナーレ」にも感じたことだった。
私はずっと北海道にいたから「国際展」ってものには長いこと接していなかった。
数年前に【札幌国際芸術祭 】の 「 札幌トリエンナーレ」 があった。
一連の企画を見渡してすごく不思議に感じた。
「え~っ?、コクサイゲ~ジュツ祭ってこういうもんなの?」
ヨコトリも札トリも、美術館や展示施設などの専用施設以外に街なかの建物やスペースを使った分散開催。 統一テーマがあるとは言え、作家や作品の個性が混ざり合って どう見たって寄せ集め的だ。何でもありのデパートといえば聞こえが良いが「雑貨店」 のよう。あるいは酷くいえば高校の文化祭のように感じた。
ヨコトリは「国際芸術祭 ヨコハマトリエンナーレ」と、 呼ぶことがある。サツトリも 「札幌+国際+芸術祭」だ。 【国際芸術祭】ってものの企画の「目的 」はいったい… 、 多額の税金を投入して行う「意味」はどこにあるのか?
街なかに ポコポコ作られた「パブリック彫刻」に感じた疑問同様、 ビエンナーレやトリエンナーレで開催される 【 国際芸術祭 】をどう理解したら良いのか…
恥ずかしながら、私にはワカランのだった…。
これまでは面倒だったから、 私はそうした疑問を放っておいた。
でも、今回はヒマになったこともあるから、 ちと本気になって考えてみようと思った。
【調べてみて 】【 考えてみて 】ジックリ【予習して 】自分自身の準備を整えて、
それから、開催中の「ヨコトリ2020」に出向きたいと考えた。
え~い面倒だッ。私がこれまで避けて来た、
「パブリック彫刻」「国際芸術祭」「現代アート」
この機会に コイツラをまとめて理解しちまおうと思い、資料集めに市立図書館へ向かった。
つづく
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